隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 たばこの匂いがするパチンコ屋と、いくつかの飲食チェーン店が立ち並ぶ明るすぎる駅前通りを抜けて、今度は街灯の少ない暗くて狭い道に入る。
 あまり治安のよくなさそうな場所に少し不安になるけど、優成の手は暖かく、背中が頼もしい。

 いろんなドキドキがないまぜになる。

 そう言えば前世では、この背中についていったあとに殺されたんだっけ……。


 しばらくして、木造の小さな診療所が見えた。 【宗像診療所】と書かれた看板の電気は消えている。 優成は裏に回って勝手口のドアをあけると、関係者しか通らないだろう暗い廊下を迷いなく突き進んでいって突き当りの診察室のドアをノックした。

 すると、中から出てきたのは背が低い初老の男性。

 丸眼鏡をかけ、シャツの上にカーディガンを羽織ったその人は、この街には似つかわしくない上品な佇まいをしている。


宗像(むなかた)さん、時間外にすいません」

「全然構わないよ。 ちょうど暇していたところだ」


 優成の肩をポンと叩いたその人は、わたしに穏やかな笑みを向けた。