隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

「えっ、えっ、なんで?」

「シ」


 優成は人差し指を自分の口元にあててアイコンタクトすると、スマホを耳にあてた。

 わたしの手を掴む手はそのままに、階段を上がって改札の方へと歩き出す。 しばらくして優成は電話口に向かって話し出す。


「……あ、夜分すいません、今から行ってもいいっすか。 ……。 ……はい、今ちょうど△駅で……」


 電車の音も相まって、優成の話し声はあまり聞こえない。 優成はひと通り話し終えるとスマホをしまい、わたしを駅の外へと連れ出していく。


「待って優成、えっと、」


 説明が欲しくて優成の手を引っ張ると、優成は腰を折ってわたしの左耳の方に顔を近づける。

 急に距離が近づいて、心臓がドキンと跳ねた。


「   」

「え? なに?」


 優成は顔を離して「ほら、やっぱり」と言う。


「え? なにがやっぱり?」

「いいから行くよ」


 優成は問答無用でわたしの手を引いて再び歩き出した。