朔耶と残りの作業をこなしていると、あとからやって来たほかの一年部員たちも手伝ってくれたおかげでいつもより早く作業を終えた。
帰宅時間となって、ジャージから制服に着替えて一年生の電車通学の数人と一緒に帰路につく。
「それにしても越谷来てくれて助かったよなー。 前より練習できる時間格段に上がったし」
「ほんと?そう言ってもらえるとやりがいあるなぁ」
「越谷が走ってると俺たちも走んなきゃってなるしな」
「あはは!」
こんな風に何でもない話をしながら駅までの道を歩いていくと、いつもは解放感も相まって空気がおいしく感じるのに、今日の夜はなんだか息苦しい。
「じゃあまた明日なー」
「うん! また明日ー」
電車に乗って数駅でみんなが降りて、残るはわたしと朔耶だけになった。 ちょうどふた席ぶんあいたところに、並んで腰掛ける。
すると隣の朔耶が大きなあくびをひとつした。
「眠そうだね」
「全然眠くないよ」
「あくびしてたよ」
「……口開けただけだよ」
「あはは!無理あるよー」
基本的に素直な朔耶は、なぜかたまに、こうして強がってみせる。
エースだけど、同期たちにやっかまれることなく愛されてるのは、こういう可愛いところがあるからなんだろうな。



