隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 まもなく体育倉庫の前に着き、ひとまず人の気配がないか耳をそばだててみる。


「はぁ!? お前、ふざけんなよ!!」


 中から穏やかじゃない男の人の怒声がして、反射で体がビクッと跳ねた。

 
「そんなこと言われてはいそーですかってすぐ納得できる訳ねぇだろ!」

「しょうがないじゃん……好きになっちゃったんだもん」

「てめぇ、ふざけんな!」


 声から察するに、白井部長とまりか先輩だ。

 痴話げんかにしては激しい。 それも、冷静さを欠いている白井部長のほうが一方的に怒っていて、なにか嫌な予感がして扉をあけた。


「今までどんだけお前のわがまま聞いてやったと思ってんだよ!!」


 青筋を立てた白井部長がサッカーボールを手に、入り口近くにいるまりか先輩に向かって振りかぶるところだった。


「! あぶない!!」


 咄嗟にまりか先輩の前に飛び出すと、勢いのついたサッカーボールがわたしの耳に直撃した。