ピピピ、ピピピ。
アラーム音が鳴り、私は素早く消す。
そしてゆっくりと身体を起こし、カーテンを開ける。
「眩し・・・。」
そう呟きながら、顔を洗い、制服に着替える。
「おはよう、お母さん。」
リビングのドアを開け、言う。
「あら、おはよう菊。今日は早いわね。あ、今ちょうどトーストできたから。冷めないうちに食べなさいよ。あと、お弁当忘れないこと。じゃあ、行ってきます。戸締りお願いね。」
「はーい。」
お母さんは私の朝食を作ってから、仕事に出かける。
なので、一緒に朝食を食べることは少ない。
「いただきます。」
メニューはいつもと同じ、トーストと目玉焼き、サラダにウインナー。ヨーグルトまである。
飲み物は、ココアだ。
私は朝食を済ませると、お弁当を通学カバンに入れ、家を出た。
「よう、菊。今日も相変わらず髪に寝ぐせついてるな。」
「ちょ、ちょっと。女の子に対して失礼ね。」
確かに私は、寝ぐせがつくとなかなか直らない。
「は?菊が女の子?」
「翔、今さらそんなことい・・・」
「女の子っていうのは、久美子みたいな、ああいう容姿をしているやつのことを言うんだよ。」
そう言って、翔は十メートルくらい先にいる、美人な女子を指した。
その子の名前は、久美子。
さわやか系女子で、バレーボール部の部長さんでもある。
そして・・・翔の好きな人。
このことを聞いたときは、何もかもが崩れそうになった。
だって、私は翔のことが好きだから。
でも、翔が久美子ちゃんを好きになるのも、おかしくない。
というか、二人はお似合いと言われているくらいなんだから。
「ふん。もういいよ。」
「なんだよ、急に拗ねて。意味わかんねえ。じゃあ、久美子のとこ行ってくるから。」
そう言って、翔は久美子ちゃんの方に行ってしまった。
今、前に二人が並んでいる。
はあ、やっぱり二人ってお似合いだな。