目に見えぬものでも、2人なら

この人、顔かっこいいんだよなー

かつがれているのに呑気なあたし

「おい、なに人の顔ずっと見てんだよ」

やべ、バレた

「えっとー、あたしどうなるの?」

「え?言ってなかったっけ?
 おまえ、おれの婚約者になれ。」

は?

「でも、おれまだ17だから、まだ結婚できないな。だから、今は彼女な、斎藤怜 怜って呼べ」

ニカッと笑う怜。

ちょっとドキッとしたあたし

戒「え、わらった、、、?」

奏「うん、わらった」

怜「おい、こいつ。 」

戒奏「「え、まじ」」

怜「まじだ、おれが間違うわけない」

この人たちなに言ってんだ?

怜「おー、ついたぞー
  お前、おれ名乗ったのにお前の名前教えてくんねーの?
  ま、しってっけど(ボソッ)」

え、なんて?ってか、勝手に名乗っておいて、、、、

怜「おい、早く言え」

え、顏怖、、、

さっきの笑顔はなに?

美怜「えっと、古川美怜、、です。」

戒「としは?」

美怜「16」

奏「え、まじ!?おれと同い年!!」

怜「お前そんなに下だっけ?」

美怜「名乗ったのに、結局お前呼びじゃん
   ってか、なにあたしのこと知ってる風に喋ってるの?」

怜「おま、、美怜は、覚えてないか」

なんで、、寂しそうに笑うの?

怜「とりあえず、風呂に入って寝ろ
  夜が遅すぎる」

そう言ってあたしにタオルとスエットを渡してきた。

一応相手は借金取りできてたんだから、なにも言わずに従っておこ。

お風呂に入って、もらったスエットともともと履いてたショートパンツを履いて出た。

怜「あかったか、っておい」

美怜「どーもです」

怜「髪乾かしてないのかよ、、、
  こっち来い」

美怜「いいよ、短いしすぐ乾く」

もともとストレートで、すぐ乾く上に動きやすいようにボブカットにしてる。

普段は気が向いたら乾かす程度。

怜「お前、いうこと聞け、、早く来い」

わ、怖

これはいうこと聞いとかないとダメだな

乾かしながら怜が話し始めた

怜「お前んちの事は大体知ってる。
  きつかったな、今までお疲れ」

え、なんで知ってるの、、、、、

そんな考えと一緒に涙がながれた。

怜「お前は覚えてないだろうけど、よく廃墟で遊んだんだよ、お前と」

確かに、誰かと一緒に遊んでいた、でも突然いなくなった、、、、

すごく悲しくて、耐えれていた両親からの暴力にも耐えるのもキツくなって、、、

胸がすごく痛かったのを思い出した

怜「ここにはそんな奴はいない、おれがお前を大事にする。
  それに、もう怯えなくていいんだ。」

そう言いながらドライヤーを止め、後ろから優しく包んでくれた。

あったかくて、ずっと誰かにこうして欲しくて、、、、、、

泣きたくないのに涙が止まらなくて、、、、

美怜「れ、、ん、、っ、こわ、っ、、い、よっ」

もう止まんない

今でも出て行った親がいつ帰ってくるかわからない恐怖をずっと抱えていた。

喧嘩が強くなっても、いつか前みたいに戻れるって信じてても、昔の恐怖がずっと脳裏にこびりついて離れない、、、

怜は、なんで知ってるんだろ?

怜「おれはな、ずっとお前を探してた」

え、、?なんで、、、

怜「初めて好きになって、ずっと一緒にいたいって思ってたのに。美怜の抱えているの知ってて助けてあげられなかった。
  だから、親に頼んで喧嘩強くなって美怜を助けようと思った。でも、中2の冬、会いに行ったら美怜はいなかった、、、」

あ、あたしが繁華街に行くようになったからだ、、、、

怜「だから、おれはずっと探してた。
  美怜が好きって言ってたオレンジに髪も染めて、いつか会えるんじゃないかって」

え、そんなに思っててくれたの?

怜「ずっと好きで好きで仕方なかった。
  会えなくても強くなって、名前が知られるようになったら会えるかもってそう思って今まで頑張ってこれた。
  今も美怜が大好きだ。」

美怜「え、っと、」

怜「返事なんて待ってないよ、まずは、その愛想笑いからなおそっか!」

え、バレてた?

まだ誰にもバレたことなかったのに。

でも、まさか、あの子が怜だったなんで

しかもずっと思ってくれてて、、、、、


怜「あ、頭パンクしてんじゃねーか
  ちょっと言いすぎたな、わりぃ
  もう寝ろ。おやすみ。」

そう言ってあたしを布団に入れてくれた。

泣きすぎたあたしは、疲れてたのかそのあと怜がなに言ってるのかは聞き取れなかった。

「早くおれを好きになれよ」