黒い王子と、甘い恋の嘘。



放課後。

蓮くんと帰ることもなく、急いで家に帰って、自分の部屋に飛び込む。

小学校の卒業アルバムを本棚から探して、取り出して、必死にめくる。

一年生の時にあった学年合同遠足の写真に、蓮くんが写ってるかもしれない……!

そんな淡い期待を込めてページをめくり続け、ようやく目当ての写真を見つける。

左上から右下まで、くまなく彼の面影を探して──。




──ない。




蓮くんは、いない。

まだ私は、“事実”にたどり着けない……。


気を抜いたら涙が溢れてきそうで、ぐっと奥歯に力を入れる。


どうしよう。手がかりになるものって、もうないのかな……。


私、ちゃんと知りたいよ。

蓮くんと私の間に何があったのか。

瀬那ちゃんが気にしてくれてる“事実”が何なのか。

弱気になってる場合じゃない……っ。

知りたいんだから、行動しなきゃ!

そう覚悟を決めたところで、はっとした。


瀬那ちゃんとは小学校が一緒で……、──幼稚園も、一緒。

幼稚園の時に親が撮ってくれた写真のアルバムなら、載ってるかもしれない……!

一筋の希望が見えて、そのアルバムを探そうとして、ぴたりと手が止まった。


──そのアルバムは、この家にはない。


お父さんと離婚して、もう何年も会っていない──ママの元にあるはず。

私はぎゅっと、記憶に蓋をするように、きつく目を閉じた。