黒い王子と、甘い恋の嘘。








『俺とゲーム。どっちかが惚れたら終了な』







──ちょっと意地悪な声も、







『……乃愛じゃなきゃ、ダメなんだよ』







──少し切なさそうな表情も、







『乃愛はかわいーし優しーな』







──甘い笑顔も、







『俺のことだけ、見てて』







──不安そうに揺れる瞳も、







『乃愛が“蓮”って俺の名前呼ぶまで、説明してやらねー』







──いたずらっ子みたいな一面も、







『乃愛が特別』







──期待してしまったせりふも、










ぜんぶぜんぶ、愛おしくて。





胸が締め付けられたように苦しくて、えぐられたように痛くて。


もう認めてしまいたいけど、認めたくなくて。


私は、これが最後って決めてから、



──ひとすじだけ、涙を流した。