「……ほんとに、良かったの?」
翌日、金曜日。全て瀬那ちゃんに話した。
相園さんに、九月までには別れて欲しいと言われたこと。
蓮くんと一緒に、パーティーに出ること。
一条先輩が相沢理央くんだったこと。
理央くんと七月から付き合うことになったのも、
それを理由に蓮くんと別れることにしたのも。
六月二十九日までは蓮くんとの思い出作りに費やすと決めたことも、
七月一日からは理央くんのことを真剣に考えるのも、全て伝えた。
瀬那ちゃんは、今にも泣き出しそうな、つらそうな表情で、私を見つめて、そう問いを投げかけてきた。
「うん。いいんだ」
「でも、乃愛……」
「もう、これ以上は、ダメなの」
これ以上、ずっと一緒にいたら……私は、あきらめきれなくなる。
「瀬那ちゃん」
そう呼べば、彼女は涙目で私を見てくれる。
彼女の瞳には、うまく笑えない私が映っていた。
「ずっと協力してくれて、ありがとう。でも、あとは私一人でやらせて……?」
「なんで……? どうして」
「それはね──」
私は小さく、唇を動かした。
「──私が、私をあきらめさせるため」
その言葉の響きが切なかったのは、気のせいということにして。
私は静かに、目を伏せた。
