黒い王子と、甘い恋の嘘。


「あのっ、えと、どうしてそうなるんですか……!?」

「いーじゃん、パーティー。ちょうど父さんにも彼女を紹介しろって言われてたし」

「む、無理です無理ですっ、絶対にむり……!」



じたばたと、引きずられそうになって必死に抵抗する。

パーティーなんて、絶対に無理だよっ……!



「あれ、いーんだ? 乃愛は俺に弱み握られてんのに」



意地悪く笑う蓮くんは、お昼休みに見せた弱々しさなんて微塵もない。

……でも、どこかやっぱり切なそうで。

でも簡単には触れちゃいけない気がする、から。



「……やっぱり行きます」

「だろ? ま、脅されてるもんな」

「うぅ……」



なんて、うめいてみせるけど。

ほんとは、今の蓮くんを一人にしたくないから。



「で、乃愛はドレスの試着な」



あっち。と、指さされた方向を見れば。



「いらっしゃいませ、黒崎様」



お店の人たちが、いっせいに頭を下げてる光景。



「本日は、お連れ様のドレスをご用意させて頂きます。どうぞこちらへ」



綺麗な仕草で案内されて、緊張しながらも蓮くんのあとをついて行く。

なんかすっごく、立場の差がわかった、かも……。


蓮くんは、庶民の私とは違うんだ。

大企業の次期社長で、いわゆる御曹司で。

……ちょっと、胸が痛い。