「…そうだよね、でも蓮も私にとっては家族みたいなものだよ。」


「ありがとう、そう言ってもらえるだけで嬉しいよ。あと俺にはこれがあるし。」


そういって鞄のキーホルダーを指差した。


「そうだね。でも、蓮はしばらくここにいるの?」


「俺も、家族のとこに帰る。」


「親戚?」


「違うよ。笑 母さんと父さんに会いに行く。」


お墓参り…なわけがなく、それが意味するものは彼の表情から明らかだった。


「それって…」


「最後に瑠菜に会えたのも、母さんたちが引き合わせてくれたんだろうな。」


「違う。蓮は私と一緒に生きるために私と出会ったの。私は蓮と生きたい。」


私の言葉に、一瞬ハッとした表情になって、また泣き出した。


「瑠菜は幸せになるべきなんだ。俺じゃ幸せにできない。」


「そんなことない、少なくとも私は今こうやって辛い日常から抜け出して、出会ったばっかなのに蓮と一緒にいることをこんなに幸せに思ってるんだよ。蓮はあったかい人だから。」


何も言えないくらい泣きじゃくっている蓮をそっと抱きしめた。そして、私はこの時決めたんだ。


「私、明亮高校に行くから。それで、ちゃんと一緒にいるから、いたいから。」


「そんなことしたって、学年も違うし無駄なんじゃ…」


「無駄かどうかはやってみなきゃわかんないよ、そのためには蓮がいなくなったら困る。


それに私が明亮に行ったら、私のお母さんお父さんも喜ぶよ、蓮のために行きたいから、蓮がいなきゃ目指せない。」


思わず声が大きくなってしまった私の必死さに蓮がくすっと笑って、泣きながら、


「ありがとう。」


そういって、何倍もの力でわたしを抱きしめた。