「あ、良かった。すごくかっこいい」
ピアスをつけ終わった後、愛茉は至近距離でオレの顔をじっと見て、満面の笑みを浮かべる。
「えへへ、バイト頑張った甲斐があった。大事にしてね」
そこでもう、スイッチが入ってしまった。愛茉の体を抱き寄せて、噛みつくように口づけをする。唇のすき間から漏れる愛茉の吐息が、どうしようもなく情欲を掻き立てた。
「ごめん、我慢できねぇわ」
温泉の美肌効果なのか、いつも以上に柔らかい肌に指を滑らせる。
こんなに求めるなんて、自分でもどうかしていると思う。
日に日に綺麗になっていく愛茉に対して、それこそ細胞そのものがつながることを求めているような感覚だった。何度吐き出したって足りない。いっそのこと、本当にひとつになってしまえばいいのに。それなら、ずっと離れることはない。
言葉にならない感情を、いつでも受け入れてくれる。足りないものを埋めてもらっているのは、オレの方なのかもしれない。愛茉の温かさを感じながら、そう思った。
「……起きてから、お風呂入ったばっかりだったのにな」
部屋の露天風呂に浸かりながら、愛茉が口を尖らせている。キンとした冷たい空気が火照った顔を気持ちよく撫でて、ようやく頭が完全に冴えてきた。
「朝は性欲が強くなるもんなんだよ。別にいいじゃん、風呂は何度入ったって」
「そうだけど」
「つーか、ひとりで入るなよ。こういうのは一緒に入るもんだろ?」
「だって入りたかったんだもん。昨日……そのまま寝ちゃったし……」
顔を赤らめて、ボソボソと呟く。何度抱いても、愛茉には初心なところが残ったままだ。オレの腕の中で見せる女の顔も、こういう少女のような表情も、どちらも愛おしくて仕方がない。オレもかなり深みにハマっているな。
「あ~あ、朝ご飯食べに行かなきゃいけないのに~」
「朝飯、何時まで?」
「9時半」
「まだ余裕じゃねぇか」
「美味しいものがなくなってたら、桔平くんのせい」
「大丈夫だよ、安いホテルじゃねぇんだからさ。なくなったら、ちゃんと補充されるって」
その後もぶつくさと文句を言い続ける愛茉を宥めながら、朝食会場へ向かった。幸いビュッフェの料理はたくさん残っていて、デザートのアイスクリームもしっかり食べた愛茉は満足そうにしていた。
さて、今日は小樽市内の観光らしい。まず小樽駅へ向かい、そこからバスで小樽貴賓館へ向かった。
小樽貴賓館の敷地内には「にしん御殿」と呼ばれる旧青山別邸がある。洗面所は御影石と大理石、便器には有田焼が使われるなど、金に糸目をつけずに建てられた「北の美術豪邸」だ。日本間に飾られている書や襖絵にも、かなりのこだわりが見られる。
併設の貴賓館の1階天井は、北海道ゆかりの日本画家による豪華な天井画の競演。なんとも優美だ。
ピアスをつけ終わった後、愛茉は至近距離でオレの顔をじっと見て、満面の笑みを浮かべる。
「えへへ、バイト頑張った甲斐があった。大事にしてね」
そこでもう、スイッチが入ってしまった。愛茉の体を抱き寄せて、噛みつくように口づけをする。唇のすき間から漏れる愛茉の吐息が、どうしようもなく情欲を掻き立てた。
「ごめん、我慢できねぇわ」
温泉の美肌効果なのか、いつも以上に柔らかい肌に指を滑らせる。
こんなに求めるなんて、自分でもどうかしていると思う。
日に日に綺麗になっていく愛茉に対して、それこそ細胞そのものがつながることを求めているような感覚だった。何度吐き出したって足りない。いっそのこと、本当にひとつになってしまえばいいのに。それなら、ずっと離れることはない。
言葉にならない感情を、いつでも受け入れてくれる。足りないものを埋めてもらっているのは、オレの方なのかもしれない。愛茉の温かさを感じながら、そう思った。
「……起きてから、お風呂入ったばっかりだったのにな」
部屋の露天風呂に浸かりながら、愛茉が口を尖らせている。キンとした冷たい空気が火照った顔を気持ちよく撫でて、ようやく頭が完全に冴えてきた。
「朝は性欲が強くなるもんなんだよ。別にいいじゃん、風呂は何度入ったって」
「そうだけど」
「つーか、ひとりで入るなよ。こういうのは一緒に入るもんだろ?」
「だって入りたかったんだもん。昨日……そのまま寝ちゃったし……」
顔を赤らめて、ボソボソと呟く。何度抱いても、愛茉には初心なところが残ったままだ。オレの腕の中で見せる女の顔も、こういう少女のような表情も、どちらも愛おしくて仕方がない。オレもかなり深みにハマっているな。
「あ~あ、朝ご飯食べに行かなきゃいけないのに~」
「朝飯、何時まで?」
「9時半」
「まだ余裕じゃねぇか」
「美味しいものがなくなってたら、桔平くんのせい」
「大丈夫だよ、安いホテルじゃねぇんだからさ。なくなったら、ちゃんと補充されるって」
その後もぶつくさと文句を言い続ける愛茉を宥めながら、朝食会場へ向かった。幸いビュッフェの料理はたくさん残っていて、デザートのアイスクリームもしっかり食べた愛茉は満足そうにしていた。
さて、今日は小樽市内の観光らしい。まず小樽駅へ向かい、そこからバスで小樽貴賓館へ向かった。
小樽貴賓館の敷地内には「にしん御殿」と呼ばれる旧青山別邸がある。洗面所は御影石と大理石、便器には有田焼が使われるなど、金に糸目をつけずに建てられた「北の美術豪邸」だ。日本間に飾られている書や襖絵にも、かなりのこだわりが見られる。
併設の貴賓館の1階天井は、北海道ゆかりの日本画家による豪華な天井画の競演。なんとも優美だ。



