一時は母が発達障害を疑って、いろいろな病院へと連れまわされたことがある。その中でたまたま出会ったのが、ギフテッドについて詳しい医者だった。
その医者は、オレが授業に集中できないのは、内容があまりに簡単すぎて既に理解しているからだということを分かってくれた。
そもそもオレが授業をつまらなく感じたのは、オレの質問に先生が答えられないことが多かったからだ。それなのに次々に質問をするものだから授業がストップして、先生にもクラスメイトにも面倒な奴だと思われる。
「あいつは自分が頭いいからって、周りをバカにしている」
「話しはじめると、意味が分からないことを早口で言う」
そんなことばかり言われていた。
別にバカにしてなんかいない。ただ、知らないことを知りたかっただけだ。早口になるのは、頭の回転に追いつくため。そう説明するのも面倒だった。同級生とは、まったく会話が嚙み合わない。
結局2年生に上がるタイミングで、私立から公立の小学校へと転校した。学費が無駄だと、合理主義者の義父が判断してのことらしい。ほとんど授業に出ないのだから、当然ではある。学校側も厄介払いができたと思っていただろう。
アメリカではギフテッド教育が広がっているらしいが、日本の場合はまだまだ認知度が低い。だから公立だろうが私立だろうがどこへ行っても馴染めないし、疎まれる。扱い方が難しいクソガキとしか思われなかった。
そして「頭は良すぎるほど良いのに、精神が幼い」と言われる。本当は違う。中身は年相応だった。言動があまりに大人びているから、アンバランスに映っていただけだ。
こんな環境で育ったものだから、もともとは人懐こく会話好きだった子供が、いつしか心と口を閉ざして人との関わりを避けるようになるのも自然なことだったと言える。自分を出して誰にも理解してもらえない苦しみを味わうより、何も発しない方が楽。自分の世界は、自分で守るしかなかった。
おかげで、小学校低学年から早々に不登校気味になる。学校には月数回だけ行って、保健室で小テストを受けるぐらい。それも100点以外取ったことはない。
中学でも不登校は続いたものの定期テストはしっかり受けていて、毎回ほぼ満点で学年トップをかっさらっていた。だから余計に疎まれる。何をしたって、外の世界に自分の居場所なんてないのだと感じた。
ただ、それを悲観したことはない。ひとりでいるのは最初から平気だったし、好きなことさえできるならそれで良かったからだ。オレには絵がある。
いつしか見えない父の背中を追いかけるようになって、部屋は父の絵の模写で溢れるようになっていた。
その医者は、オレが授業に集中できないのは、内容があまりに簡単すぎて既に理解しているからだということを分かってくれた。
そもそもオレが授業をつまらなく感じたのは、オレの質問に先生が答えられないことが多かったからだ。それなのに次々に質問をするものだから授業がストップして、先生にもクラスメイトにも面倒な奴だと思われる。
「あいつは自分が頭いいからって、周りをバカにしている」
「話しはじめると、意味が分からないことを早口で言う」
そんなことばかり言われていた。
別にバカにしてなんかいない。ただ、知らないことを知りたかっただけだ。早口になるのは、頭の回転に追いつくため。そう説明するのも面倒だった。同級生とは、まったく会話が嚙み合わない。
結局2年生に上がるタイミングで、私立から公立の小学校へと転校した。学費が無駄だと、合理主義者の義父が判断してのことらしい。ほとんど授業に出ないのだから、当然ではある。学校側も厄介払いができたと思っていただろう。
アメリカではギフテッド教育が広がっているらしいが、日本の場合はまだまだ認知度が低い。だから公立だろうが私立だろうがどこへ行っても馴染めないし、疎まれる。扱い方が難しいクソガキとしか思われなかった。
そして「頭は良すぎるほど良いのに、精神が幼い」と言われる。本当は違う。中身は年相応だった。言動があまりに大人びているから、アンバランスに映っていただけだ。
こんな環境で育ったものだから、もともとは人懐こく会話好きだった子供が、いつしか心と口を閉ざして人との関わりを避けるようになるのも自然なことだったと言える。自分を出して誰にも理解してもらえない苦しみを味わうより、何も発しない方が楽。自分の世界は、自分で守るしかなかった。
おかげで、小学校低学年から早々に不登校気味になる。学校には月数回だけ行って、保健室で小テストを受けるぐらい。それも100点以外取ったことはない。
中学でも不登校は続いたものの定期テストはしっかり受けていて、毎回ほぼ満点で学年トップをかっさらっていた。だから余計に疎まれる。何をしたって、外の世界に自分の居場所なんてないのだと感じた。
ただ、それを悲観したことはない。ひとりでいるのは最初から平気だったし、好きなことさえできるならそれで良かったからだ。オレには絵がある。
いつしか見えない父の背中を追いかけるようになって、部屋は父の絵の模写で溢れるようになっていた。



