「瞬時の判断が……まぁ、そうだな」
「素直に凄かったって言いなさいよ」
「はぁ?」
始まった夫婦喧嘩。
いつものことだから酷くならない限り止めないけど、今日は別。
そんなことしてる場合じゃない。
だから止めに入ると、神楽さんがボソリと呟いた。
「別に優勝って程じゃねぇだろ」
「何言ってるんですか。俺の負けですよ。俺もボールには気付いたけど反応出来なかった。流石神楽さんです」
「………」
何だか後味悪そうな神楽さん。
……それもそうだよね。
初めから勝負なんて乗り気じゃなかっただろうし、こんな、何でもないハプニングで勝敗が決まったのだから。
「じゃあさ。敦雅と神楽はどっちが強い?」
「……」
「……」
「……」
衣吹さんの何気ない一言。
それに一番に反応したのは神楽さんだったと思う。
気付けば神楽さんは逃げるようにあたし達に背を向けていた。


