悪魔と涙と甘い恋。


「ちょっと神楽と千葉で勝負するから、見学しない?せっかくだからさ」

「良いんですか!?」

「うん。良いよ。じっくり見て実戦に活かしなさいよ?」


急遽、観戦メンバーの追加もあったけど、あたし達は2人の邪魔にならないように壁際に寄った。


神楽さんが上着を脱ぐと、千葉さんも床に上着を落とす。


わっ……!

2人とも本気モードだ!



「か、神楽さん頑張ってくださいっ……!」


次の勝負も負けてほしくなくて。

控えめに声をかけた。


そしたら神楽さん、片手をヒョイッと上げてくれて。

ドキッとした。



2人の間にいる審判役の後藤さんが、手をまっすぐ下に伸ばした。


「僕も応援してるんで、頑張ってください」


手を上にあげ、「始め」の言葉が聞こえた瞬間、千葉さんは床に倒れていた。


「い、1本……!」


後藤さんは遅れてそう口にするけど、無理もない。

だって一瞬すぎて何が何だかわかんなかったんだもん。



「早すぎんだろ」

「全然見えなかったんだけど」