お父さんとお母さんは優しくて。
あたしが小さい頃、怪我をして帰ってきたときもお母さんは優しく手当てしてくれた。
野良犬に追いかけられてもお父さんが追い払ってくれた。
いろんなところに遊びに行って、あたしの大好きなものいっぱい作ってくれた。
あたしがΩだって知ったときは、お母さんはもういなかったけどお父さん1人でいろいろ調べてくれた。
あたしが苦しくないようにって調べてくれた。
大好きな、大好きな……2人だった……。
ポタッとあたしの手に涙が落ちる。
「何も残って無いかもしれねぇけど、あるだろ?大事なもの」
一度溢してしまえば止まることを知らない涙が、次から次へと落ちていく。
お母さんの形見も捨てられ、家を追い出されたとき、お父さんの形見も持って来れなかった。
あたしのところには2人のもの、何も無くて……。


