悪魔と涙と甘い恋。


あたしの頭に向かって後藤さんの手が伸びてきた時、てっきり撫でられるのかと思ってた。

だけどその手は神楽さんによって弾き返された。


その時の2人が、あまりにも何もなかったかのような振る舞いだった。

だから気のせいだったのかなって、思ってたけど……。



「あれ?もしかしてある?」

「え?あ、いや……」


でも、一時期敦雅さんと一緒にいた時間が長かった時、そんな素振りは一切無かった。


んん?

やっぱり気のせい?




「じゃあ見つめ合うとか」

「話してる時は目を見てるよ」

「いや、そーじゃなくて。雰囲気とかあるじゃん」



雰囲気……。

ちょっとだけ想像して、すぐに我に帰る。



「たぶん、黙ったまま見つめてたら心配されそう」

「同感」


即答する衣吹さんに、本日何度目かの苦笑いをこぼす。