悪魔と涙と甘い恋。


なんて言ってる隙に敦雅さんが背を向けて逃げようとしたから、いつもより大きな声を出した。


「逃げたら何も変わらないですよっ……!」



全然止まってくれなかった。

だけど、あたしの気持ちが少しでも伝わったらいいなって。

そう思いながら去っていく背中を見つめたんだ。



「すごい音したけど、何してたの?」


神楽さんが心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。


「あ、いや……敦雅さんと話してたんですけど、怒らせちゃって……」

「……」

「……」



胸が切ない。

あたしは、何もできないのかな……。



「2人ってもう戻れないんですかね……」


少しの沈黙の後、神楽さんがあたしの頭を優しく撫でた。


「2人のことは2人にしか解決出来ねぇから。俺達はきっかけを作って背中を押すだけ」

「きっかけ……」