悪魔と涙と甘い恋。


「その手、離してもらえます?」


ほんの少し。

許される範囲で振り返れば、睦美さんがお義母さんの手を掴んでいた。


今までに見たことがないくらいの真顔で……強い眼差しだった。


「あなたには関係───」

「あります。私は羽瑠ちゃんの母親ですから」


淡々と話すその姿は、いつものおっとりした雰囲気はない。


「あなたこそ何なんですか?人の娘に手を出して。許されると思ってるんですか?」


怯むようにお義母さんの手が離れた。

その反動で、あたしは地面に倒れ込む。


そんなあたしの身体を起こしてくれたの神楽さんで。

思わず「えっ」と声が漏れた。


「どう、して……お仕事は……?」

「嫌な予感がしたんだ。だから羽瑠の居場所を聞いて飛んできた」


そう言われれば涙がぐわっと込み上げてきて。

ボロボロと大粒の涙が溢れた。