悪魔と涙と甘い恋。


「あの、睦美さん……」

「彼のことなら心配しないで?車を出してくれるだけだから」


そう言われてびっくり。

さっきのやり取りの中に、そんな会話も素振りも一切無かった。


なのにそこまで出来上がってるなんて。


幹部の人達ってあたしが思ってるより何倍もすごいんだな……。



廊下を通って玄関先。

座って靴を履いていると、幹部の人があたしの前でしゃがんだ。


「今日は神楽さんがいない分、俺が羽瑠さんの護衛するから」

「あ、ありがとうございます」


やる気満々な姿に思わず苦笑いを溢した。


少しずつ幹部の人と話せるようになったあたしは、みんなから“羽瑠さん”と呼ばれるようになった。

こっそり聞いた話では、どうやらあたしが桜夜組の養子だから呼び捨てに出来ないとかなんとか。