「あたしでよかったら……」


ニッコリ微笑むと、睦美さんがあたしの腕を引いた。

え?


「行くわよ〜」


なんて言って台所から出て行こうとするから、幹部の人達が慌てて睦美さんのことを止める。


「ちょ、姐さん!羽瑠さんまだ皿持ったままですよ!」

「あらまぁ」


口に手を当てて、ほんのり頬をピンクに染める姿は、衣吹さんのお母さんとは思えないくらい可愛い。

衣吹さんは美人系なのに睦美さんはふわふわ系。


たまに極道の妻?がこんなおっとりしてていいのかなって心配になる。

そのもの自体にもっと怖いイメージを持ってたから……。




「じゃあ行くわよ」


今度こそ、意気揚々と台所を出る睦美さん。

そこにいた1番若そうな幹部が1人、あたし達のあとを追うようについてくる。