─── αがΩのうなじを噛むと番が成立する。
それは第二の性について学ぶときに教わったこと。
「ちょっと試させて」
グッと強い力で頭を押され、もう1人の人があたしの髪の毛を掬い上げる。
「や、やめてっ……!」
髪の毛に触れられることですら気持ち悪くて、ゾワゾワと鳥肌が立つ。
こんなこと興味本意でやってほしくない。
Ωにとって番になるってことが、どれほどのことかわからないくせに……!
そこに愛が無ければいらない。
「やめてっ……」
知ってる。
生きにくい世界って思ってても、無意識の内にあたしが運命の番を探していることも。
心のどこかであたしも幸せになりたいって。
お父さんとお母さんみたいな幸せな家族を作りたいって。
だけど、αに逆らえないことも。
Ωはαに遊ばれるだけの存在だってことも。
知ってる。
全部、全部。
………知ってるよ。


