「離してっ」
抵抗しようとすれば壁に押し付けられ、身動きが取れなくなる。
佑輝くんの指先があたしのお腹辺りに侵入してきて身体が強張った。
「嫌っ……!」
やめて。触らないで。
頭の中で神楽さんの顔が思い浮かぶ。
優しく触れた場所。
全部が上書きされていくみたいで。
神楽さんの温もりが消えていく感覚に涙が溢れる。
「うっ……う、やめ、てっ……!」
「動画撮っとこ〜。これでおねーさん誰にも話せないでしょ」
ピッと機械音が聞こえて。
男の人の力に勝てっこないってわかってるけど、力一杯抵抗する。
「うなじ噛んだら他の人には匂わなくなるって本当かな?」
「えっ……」
一瞬時間が止まったのかと思った。
それくらい衝撃的なことで、音も人も、あたしの中から消える感覚で。
思考が停止した。


