「私のせいで羽瑠ちゃんが……」
「羽瑠がどうした?」
「羽瑠ちゃんが……いなくなったっ……」
顔を覆っててもわかった。
空気が変わったって。
ごめん。
ごめん。
ごめん。
謝っても許されることじゃないのはわかってる。
だけどっ……。
謝らずにはいられない。
「私が、弟くんと合わせたばっかりに……ごめんなさいっ……」
───瞬間。
神楽がものすごい勢いで部屋から出ていった。
あまりにも一瞬すぎて振り返った頃にはもういない。
襖を開けたまま、バタバタと廊下を走る音だけが響く。
あんなに音を立てるなんて神楽にしては珍しいくらいだ。
「後藤!」
「はいっ!!」
「羽瑠が行方をくらました。探せるか?」
「任せてください!」
そんな声を耳で聞き、自分の仕出かしたことに深く後悔をしたんだ。
「衣吹。何があったのか聞かせてくれるか?」
「うん……」