「ここは良いから。行ってらっしゃい」
にっこりと微笑むお母さんに、羽瑠ちゃんは困ったように眉毛を下げた。
「だ、だけど夕飯の支度が……」
「良いのよ。いつも家の中にいるんだから、たまには外に出なきゃ」
「……」
助けを求めるように羽瑠ちゃんがこっちを向いた。
その顔を見て思わず笑いそうになる。
もちろん変な顔してるとかじゃなくて、可愛いなぁって思って。
「行こ?羽瑠ちゃん」
「じゃ、じゃあこれ、洗い終わったら……」
目の前のお皿達を洗いはじめた羽瑠ちゃんに、我慢出来ず笑ってしまった。
真面目で健気で。
ほんと羽瑠ちゃんは良い子だなぁ。
羽瑠ちゃんの仕事が終わるまで、私は居間で待つことにした。
5分もしない内に全部片付け終わり、羽瑠ちゃんが顔を覗かせる。