「大事な人が目の前で悲しんでる姿を見るほど“弱い”と思う事はねえ」



『あなたの“憧れ”応援してるわ』

そう言って笑うお姉さんと別れ。


涙をボロボロと溢すお姉さんを見た。



何も出来なかった。

声をかけることすら……。



「あたしも……強く、なれますか……?」

「強くなりてぇの?」

「……強くなりたいです」


誰かが傷付いてる姿はもう見たくない。

強くなくても……手を差し伸べてあげたい。


“何か出来たかも”っていう後悔はしたくない。



「強くなるのは良いけど、1人で考え込むなよ」


不意にあたしの頭の上に神楽さんの手が乗った。

ポンポンとあたしの頭を撫でる手付きが優しくて、涙が出そうになるのを我慢する。



……やっぱりバレてる。

そう言えば、神楽さんには作り笑いが通用しないんだった……。


神楽さんには敵わないや。