悪魔と涙と甘い恋。


「熱いから気をつけろよ」


そう言って、目の前にマグカップを置いた神楽さんがあたしの隣で椅子を引いた。


「あ、ありがとうございます」


ホットミルクの甘い香りに誘われて、マグカップを手に取る。


あちち……。


フーと息を吹きかけて、少しでも熱くないように冷ます。

フー、フー。


マグカップの中で波紋が出来て、一口、ゴクリと飲む。


口いっぱいに広がるミルクの甘い風味。




「美味しい……」


ふにゃっと顔が崩れる。


へへ、懐かしいな……。

昔、よく作ってもらってた。



いつもより増して静かなせいか、神楽さんのコップを置く音がやけに大きく感じた。




「……」

「……」


何か話す訳でもなく、ただあたしの隣に座っている神楽さん。

静かな空間に時計の針の音だけが響く。