悪魔と涙と甘い恋。


神楽さんの手があたしの腕に反って動いて、スルリと手の平を握りしめた。


「まだ怖い?」

「っ……」


耳元で囁くような声と、包み込むように後ろから抱きしめる大きな身体。そして、優しく握るあたしの手。

身体いっぱいに神楽さんを感じて、背中がゾクリとした。


今度は怖い意味じゃない。



「だい、じょーぶ……です……」


ふわりと甘い香りがして。

ドキンと胸が高鳴った。



その瞬間。

パッとエレベーター内が明るくなった。



「あ……」


急な明かりに慣れないせいか、見上げると反射的に目が細くなる。



「やっと点いたな」

「……点くって知ってたんですか?」


顔を上げればすぐ近くに神楽さんの顔があって、慌てて前を向く。



「まぁな。エレベーター内で停電したら自動的に停電灯に切り替わるらしい」


へぇ……。知らなかった。