「……だから何?」

「嬉しくないんですか?」

「別に」


……。

今日の敦雅さんはいつも以上に素っ気ない。



「もう良いだろ?」


バッとあたしの手を振り払った敦雅さんの腕をもう一度掴もうとしたけど、後ろに引っ張られる感覚に掴み損ねた。



「いいの、羽瑠ちゃん……」

「え……?」


あたしの腕を掴んでいる衣吹さん。

その顔は笑ってるけど……眉毛が下がっていた。


衣吹……さん……??



そうしてる間にも敦雅さんは去っていってしまったらしく、気付けば姿がなくなっていた。




……。

どこかおかしい。


何か引っかかるものがあって。


うーん、と記憶を辿る。



ボディガードのことで組長の部屋に行ったあの日、衣吹さんと敦雅さん……距離があったような……?