ソッと顔を上げると、敦雅さんはどんよりとした空を見上げていた。
「神楽さんって……」
そこまで言って言葉に詰まる。
「何?」
「よく、わかんない人ですよね……」
何か言いたそうにあたしを止めたのに、『悪い』って言って何も話してくれなかった。
神楽さん、何を言おうとしてたのかなぁ……。
「衣吹さんがヒートになったのは知ってますよね?」
「……あぁ」
「そのとき、あたし、衣吹さんじゃなくて神楽さんの心配しちゃって……」
「は?何で?」
「だって神楽さんαじゃないですか……」
「あー……そう言うこと」
言えなかった。
あのとき、“神楽さんが心配”って言ったら、あたし、悪い子みたいだと思ったから。
“目の前で苦しむ友達”より“好きになった人”をとるって最低だよ……。


