悪魔と涙と甘い恋。


怖くて怖くて、恐怖に押しつぶされそうになるのを我慢して。

衣吹さんのそばに駆け寄った。



「衣吹さんっ……!」


身体を抱きかかえるように動かせば、衣吹さんの顔が露わになる。


真っ赤な顔をした衣吹さんは、呼吸が途切れ途切れで苦しそうだった。




「い、衣吹さんっ……!」

「だ、大丈夫……」


あたしの頬にソッと触れた衣吹さんは、重力に耐えきれなくなった腕を下ろし、それ以上何も言わなくなった。


徐々に衣吹さんの息づかいが荒くなっていく。




ど、どうしよう……。

どうしたら……。



ギュッと衣吹さんを抱きしめた時。



「羽瑠!」


聞き覚えのある声に安心したのか涙がぶわりと出た。


バタバタと音を立てながら足早に来てくれた神楽さん。



「か、神楽さんっ……!」