悪魔と涙と甘い恋。


「どーでした?」


少し離れた場所で待っていた後藤が、早足で俺のもとに来る。


「例のやつ調べるぞ」

「あ、はい!」


廊下を通って玄関に向かう途中。

まだ残っている盆の上の物に足を止めた。


「どーかしました?」

「おまえちょっと先に行っててくれ」

「え、ちょっ、神楽さん!?」

「すぐ戻る」


そう言葉を残して俺は台所に向かった。

明かりが漏れる台所で、俺の存在に気付いた姐さんが顔を出す。


「あら、(けい)くん。どうしたの?」

「あ……邪魔でした?」

「ううん。大丈夫よ。でも珍しいわね?ここに来るなんて」


エプロンを付けている姐さんは、流し台で水を流しながら米を研いでいる。

鼻歌を歌いながら。


手慣れた手付きで米を研ぎ、水を流す。


一通りの動作を見て俺は口を開いた。