悪魔と涙と甘い恋。


「はいはい。あなた達みたいな人がいるから護衛としてついてるのよ」

「ひでー!俺達みたいって何なんですか」

「少なくともあなた達は桜夜組の名前を背負ってる人でしょ?そんな人が数人寄って集ってたら怖がるに決まってるじゃない」




口が動いて睦美さんと桜夜組の人はたしかに喋っている。

なのに、聞こえているはずのその声はどこか遠くに感じて。



「痛っ……」


気付いたころには、あたしは指から血を流していた。






   ♢♦︎♢♦︎♢


「……羽瑠」


自室にて、神楽さんの声にびくりと肩を揺らす。


「入るぞ」


や、だめっ……!

そう言いたかったのに声が出なくて。


襖が開いた。



涙で揺れる神楽さんの姿に、あたしは顔を隠した。


静かに襖が閉まる音が聞こえて、神楽さんが近づいて来るのがわかる。