悪魔と涙と甘い恋。


弟くんの手が力無く降りていった。



「ちょっと調子に乗ってた。お姉ちゃんに会えたのが嬉しくて……、あの時、何も出来なかった僕は母さんと同類だよね」

「そ、そんなことっ……」

「良いんだ、お姉ちゃん。わかってる……」


神楽の手が羽瑠ちゃんの手を握っていた。

羽瑠ちゃんの顔を見ると、少し動揺していて、頬をピンクに染めていたんだ。



あ……。

良いな……。


羽瑠ちゃん、神楽に守られてる。


“私も”って……心のどこかで生まれる妬ましい気持ちを、すぐさま追い払う。



羽瑠ちゃんって、もしかして神楽のこと───……




「じゃあ、僕そろそろ行くね」


居た堪れなくなったのか、弟くんはぎこちない笑顔を見せて友達の元へ行ってしまった。


その瞬間、羽瑠ちゃんの手の平から神楽の手が離れる。