果たして、わたしは今、幸せなんだろうか。

そんな漠然とした疑問が、わたしの真っ白な頭の中で、ぽつんと浮かぶように存在している。


「ねぇ、本当にするの?」「するよ」「やめといた方がいいって」「なんで?」「この前もフラれた子いるじゃん」「でも好きだから」「え、何々、何の話?」「美咲がさ、夏目くんに告白するって」「うっそ、ほんとに?」


たまたま聞こえた女子トイレの中の会話。

個室にこもるように隠れているわたしなんてそもそも頭にないようで、数人の声が聞こえてくる。

要約すると、この女子の誰かがこれから夏目くんに告白をするといった話なのは事実だが、



「でも、夏目くんって彼女いるって噂ない?」「ね。わたしも見たことある」「なら、なおさらさぁ」



どうやら、夏目くんの可愛い幼馴染の存在も把握しているようで、今日も強者が現れる予感。

それに比べてわたしはどうだ。

出るタイミングを失い、今更どの面下げて出て行けばいいのかも分からない。

彼女達が去るのを大人しく待っているこの光景は、あまりにも滑稽で情けない。