幼馴染の彼女のことを聞いても、いつも遮断される。

これ以上入ってくるなという領域が目には見えないけれど存在しているみたいで、誰にも触れさせようとしない関係性には、毎日もやもやさせられる。

はっきりしない彼に「もううんざり」なんて嫌気が差してくれればよかったのだけれど。


「ねぇ、もう一回」

「え」

「だめ?」


ベッドの上ではとことん甘くなるんだから、私は彼を受け入れてしまう。

そんなずるい男に私はどこまでも甘々に許してしまって、好きという面倒な感情に振り回されてしまう。

全てが好きだったんだもの。

一目惚れって、自分の描いてる理想像と直面した時に落ちるもの、だと誰かが言っていた。

まさにその通り。この顔が好きで堪らない。声色も、手の形も、筋肉のつき具合も、この長い睫毛も。全部が好きで堪らないんだから、私は恋に落ち、そしてぬるま湯と溺れていく。

この関係がどこか居心地が良かったりする。