──……ああ、失敗。


乱された衣服が散乱とするベッドの上で、何もない天井をただ静かに眺めた。
倦怠感を全身で味わいながら、模様さえない壁を見ていた。

「何考えてんの?」

程よく鍛えられた胸板が視界の端に写り込む。ついさっきこの胸に抱かれていたせいか、油断すると飛び込んでしまいたくなる。

「……別に。そっちこそ」
「別に」


こんな定型文を私達は一体いつまで続ければいいのだろうか。
いつだって、探り探りに互いの心を見ようとして、突破出来なくて進まない。

危うい関係になってから、こんな台詞ばかりが口をついて出る。考えている事は一緒なのだろうか。それが分かれば、そもそもこんな台詞を吐いたりしないのだけど。

「泊まんの?」