彼女を作った会社に問い合わせると、完全な故障であればすでに新型にしか作り直すことは出来ないという。

 精密機械の移り変わりは早い。
 おそらく新型となれば彼女の出来ることも表現も増えるだろう。

 しかしそうして新型に作り直された彼女は、自分の好きになったあの彼女だろうか?
 まして新型になりたいなど、彼女自身は言っていない。

 俺は彼女を直してやりたい。
 自分のもとに来た彼女はあの姿のまま、ほんの少しの時間しか“生きて”いないのだから。

「たとえ旧型でも、君は俺が好きな、誰よりも魅力的な“女性(ひと)”だ。きっとそれでも君を好きになってくれる人は居るはずだから……」

 それは恐らくただのわがままだろう。
 それでも彼女は俺とは違い、その姿でもきっと誰かの役に立てる。そしてきっと彼女らしく“生きて”いける、そう自分は信じたいから。

「俺の、わがままを許して……」

 彼女をそのまま直すことが出来る方法を探す。新型に作り直すことなく。


 俺は彼女を目覚めさせるのに参考になりそうな情報を、片っ端から集めた。
 腕のいい技師がいると聞けばすぐに相談し、彼女を見せに行く。

 そして自分の物を出来る限り売って貯金に回し、懸命に働きながら彼女を直せる技師を探し続ける。

 しかし未だに何の解決策も見出だせずにいた。