君の笑顔をください 〜アンドロイドの君へ〜

「……私はマスターに捨てられたくありません、どうかお願いします……！」

「君……！！」

　俺は彼女が目覚めたことを確信すると、声を上げ抱きしめる。

「マスター……？」

　彼女は目を開き、前と変わらない驚きと困惑の表情を浮かべて自分を抱きしめる俺を見た。
　思わず心配になり尋ねる。

「良かった、目覚めてくれた……！！でも大丈夫？どこか苦しいの？」

「……マスターに捨てられると考えるだけで、胸が苦しいのです」

　やはり彼女は俺に捨てられると勘違いをしたままだったのか。

　俺は彼女に心から謝罪をし、『聞いてほしい』と前置いてから言った。

「俺は、君を捨てたりしない。君のことが大好きなんだから。俺の態度が君に勘違いをさせてしまったんだな。本当にごめん……」

　俺は彼女に自分の気持ちを全て話した。
　今まで照れのせいで彼女に素直に気持ちを言わなかったことも、彼女に笑顔が無かったことに寂しさを覚えていたことも……

　そして状況をよく理解できていない様子の彼女に、今までの動かなかったあいだのことを説明した。