そうして迎えた三学期。


流石に始業式からいきなり会おうと言うのは、楽しみにしすぎと思われるかな。


そう思って躊躇っていたら、終わったら図書室で会える?なんてメッセージにどうしようもなくドキドキして。


うん、と震える手で送った文字に、期待が透けて出てないかななんて変な心配をして。


先生の話も終わって、いざ図書室に向かおうとした時だった。


「綾瀬さん」

ひやりと冷水を垂らされたかのように背筋が伸びる。

ウキウキとした気持ちなんてものの一瞬で消え失せて、嫌な鼓動が身体を支配する。


「……マリアちゃん」

にっこりと。
いつもと変わらない笑顔のマリアちゃんが、あの日以来初めて私に話しかけて来た。


「この後、ちょっといいかな」


この後は、青野くんと。

そんなこと言えなかった。


「……うん」

この笑顔の前で断ることなんて、私には出来ないのだ。