ベンチで、彼女の手をそっと引いて、背中に手を回した。

「今日はありがとう。
何と言うか、この時間がずっと続いてほしい、って思った。

それくらい、楽しかった。

やっぱり、意中の人と一緒だと、時間が過ぎるの早いな」

「ずるいよ、桜木くん。
ちゃんと伝えて」

「三上先生のこと、1人の女性として好きだから、苗字同じにする方向性でずっと一緒にいてほしい。
ダメかな」

しばし、彼女は言葉を発しなかった。

俺の背中にそっと手を回すと、唇に柔らかいものが重なった。

は??

え?

もしかして、もしかしなくても。

俺の、ファーストキス……

……嬉しすぎる。