三上先生は、来春から、担任教師にならないかという誘いを、受けるべきか迷っていたそうだ。

だが、今回の件で、受ける方向に気持ちが固まったのだと話してくれた。

そんな話を聞いていると、告白のタイミングを逃していた。

俺も、ついつい今のSEを続けていくのに迷っている話を、聞いてもらってしまった。

「別に、教員免許があるからといって、必ず教師にならなければいけない決まりはないしね。

教師以外にも、子供だったり教育に関わる仕事はたくさんあるわ。

常に視野を広く持つことよ、桜木くん。

そうはいっても、無意識に人間は思い込みすぎてしまうから、今のように他人に思いを吐き出してみるのはとても有効よ。

今の仕事も、きっと桜木くんの糧になって、いつか続けていて良かった、と思う日が来るわ。

明日かもしれないし、5年後かもしれない。

それは今は言えないけれど」

……ダメだな、俺。

こんなことを話すつもりじゃ、なかったのに。