今日は、いつもより早く学校へ向かった。
理由は、一刻も早く彼女に会いたいから。
教室へ入ると、彼女はまだ来ていなかった。
とりあえず、提出物を出し、通学カバンをしまい、授業の用意をしていると、教室の後ろのドアに彼女の姿が見えた。
「おはよう、田中くん。来るの早いね。いつもそうなの?」
ううん、違う。
僕はただ、君に会うために早く来た。
でも、そんなことは直ではさすがに言えないので・・・。
「今日は早く目が覚めちゃったから、早く着いたんだ。」
と言った。
でも、実際早く目が覚めたので、嘘では、ない。
「そうか、私に会いたくて、早く来たってわけか。」
「えっ!?」
「あ、その反応は、そうだな。クスッ。」
な、なぜそれがわか・・・。
いや、ここで反応しては、もっと墓穴を掘ることになる。
なので、もうなにも反応しないことにした。
「あ、じゃあまたねー。」
そう言うと、彼女はクラスの女子の輪に入っていった。
きっと、僕の話がつまらなくなったのだろう。
いや、最初から話す気はなかったのかもしれない。
そう思うと、なんだか気が重くなる。
でも、こんな僕だから、仕方がない。
彼女の心を惹くことなんて、できるわけがない。
もっと顔がよくて、性格もよくて、堂々とした人気者の方がいいはず。