咲良だった。
本当にこの高校に来ていたんだ。ずっと会いたかった。本当に会えるなんて思わなかった。俺は教室に行ってその後の入学式を終えた。入学式が終わったから普通に寮に帰ろうとした時だった。後ろから声をかけられた。
『佐倉優希でしょ。見た時からわかった。』
そう声をかけてきたのは、西森朱音だった。
『朱音じゃん、久しぶり。小学生以来だよな。でもよく俺の名前覚えていたんだね。』
『覚えてるに決まってるでしょ。初恋だったんだから。てか、なんでここにきたの?? 』
朱音は俺にそう聞いてきた。そんなの答えられるはずがない。俺が来たのは咲良に会いたかったからなんて、絶対に言えない。
『たまたま、受けた高校がここだったんだよ。別に意味は無いよ。小学生の同級生に会いたかったからきたんだよ。』
『そうなんだ。てっきり、咲良に逢いに来たんだと思った。優希、小学生の時に咲良のこと好きだったもんね。気づいてるんだからね。』
『そんなことないし。てか、朱音うざいとこは全然変わってないんだな。懐かしいよ、その感じ。』
ほんとに俺は懐かしかった。嬉しかった。
『優希こそ、その隠すくせとか変わってないね。本当に懐かしい。でも、今日だけだから明日から私に話しかけてこないでね。うざいから。じゃあ、咲良が待ってるから行くね。バイバイ。』
朱音はそういうとうしろを向いて、去っていた。朱音はほんとに変わっていなかった。だから、きっと咲良も変わってないんだと思った。早く咲良に会いたい。朱音と話した後、俺は自転車に乗ってゆっくりと学校の寮に帰った。
寮には男子、女子の寮がある。量の駐輪所に止めていたら、桜庭香織がいた。俺は勇気をだして声をかけてみた。
『なぁ、桜庭香織だよな。俺、佐倉優希を覚えてない?中学の時少しだけ一緒だった。しかも、モデルの仕事も一緒にしたんだけど、、。覚えてる?』
香織は覚えているのだろうか。
もし、忘れていたらどうしよう。まぁ、結構経ってるし。忘れていても仕方ないよな。
『え、もしかして優希?てか、久しぶりじゃん。よく私だってわかったね。優希も寮? 』
香織は覚えてくれていた。嬉しかった。
まさか、覚えているなんて。
『そう。俺も今日から寮生活。香織は全く変わってないからすぐにわかったよ。』
『そうかな。変わってないかぁー。』
『うん。』
『私も今日から寮生活。まじで知り合いとか居なくって憂鬱だったけど、優希が居て良かった。これからもよろしくね。』
『あぁ、よろしく。 』
『うん、じゃあ私行くね。また学校でね!』
香織も中学の時と変わっていなかった。本当にみんな、懐かしすぎて嬉しかった。でも、会いたい人にはまだ会えていない。クラスが違うし、咲良の姿も見ていない。きっとまだ、その時じゃないんだと思った。
高校1年生の季節が終わった。
久しぶりの同級生に会えてほんとに嬉しかった。同じ学校に通っているのになかなか会うことは出来なかった。すぐ近くにいるのに、初恋の人と会うのがこんなに遠いなんて思わなかった。
すぐに会えると思った。


