それから、1ヶ月が過ぎた。
行きたかった高校は見事に受かることが出来た。
少しずつ、咲良に会えるその日が近づいてきた。嬉しかった。
でも、緊張もする。相手に気づいてもらえるだろうか。気づいてもらえなくっても咲良に会えるだけで嬉しい。またあの町に行けることもすごく嬉しかった。
それから1週間後、出張から父さんが帰ってきた。
久しぶりだった。多分、父さんに会うのは半年ぶりだ。
『優希、リビングに降りてきて。』
この日、母さんに呼ばれた。
俺は、あの話の続きだと思った。
『優希、ここに座りなさい。少し話がある。』
久しぶりに父さんの顔を見た。父さんは会社の社長だが、自分で色々学びたいという意思があり家族はそっちのけで出張に行くことが多い。
今日も半年ぶりに帰ってきていたが、また行くんだろうと思った。
『行きたい高校があると、母さんから聞いた。優希が小学生だった時に居たあの町の高校に行くと聞いた。それは本当か?』
『あぁ。その高校も受かった。だから、行きたい。』
『優希が自分から行きたい高校があると母さんから聞いた時、びっくりした。ちゃんと考えてるんだと思った。優希もここまで考えているのかとびっくりした。』
父さんがこんなに優しいなんて思わなかった。
『父さん、どうしても行きたいんだ。』
『そんなにその子に会いたいのか?』
『会いたい。小学生の時に初めて好きになった子なんだ。今でもずっと好きなんだ。』
『そうか、わかった。俺も母さんも優希の好きなとこに行くといい。』
父さんも母さんも行きたい高校にも行かせてくれた。
これで小学生ぶりに会うことができる。嬉しさと不安がある。本当に咲良に会えるのか。それは高校に入学してみないと分からない。
それから、両親が北海道に行く時に俺も高校の寮に行くことにした。


