通夜と葬式が終わった後、俺達家族は莉央ちゃんを引き取ろうと考えていた。
親父達とおじさん達は実は高校時代からの親友らしくて、ずっと仲が良かったらしい。
だけどおばさんの妹だという人が引き取って成人するまで大切に育てると言ってきた。
本当は莉央ちゃんと離れたくなかったけど他人の俺達家族よりも大事にしてくれるという親戚の人達に任せるのが筋だと思い、俺達はお願いしますと頭を下げた。


その親戚の人達の家は隣町で住所と連絡先を親父達は交換し、さよならをした。


ところが親父達が交換した住所や連絡先は全部ウソで連絡がつかなくなってしまった。
当時、まさかあの親戚連中が莉央ちゃんの両親が莉央ちゃんの為に遺していたお金目的だとは思ってもいなくてあの二人の言葉を信じてしまっていた事に凄く後悔した。
俺は医大に進学する為に勉強をしながらも必死に莉央ちゃんの行方を探し続け、ようやく見つけ出したのだが、あれから10年も経ってしまっていた。


莉央ちゃんを見つける事が出来たのはある偶然だった。
その日俺は仕事が休みで隣町まで莉央ちゃん探しの為に出掛けていた。
コンビニで缶コーヒーを買い、飲んでいると目の前をある人物が横切ったのだ。


(あれは…!!ようやく見つけたぞッ、手がかりを…!!)


そう、ある人物とは莉央ちゃんを引き取った張本人の莉央ちゃんの叔母さんだった。
俺は缶コーヒーを飲み干すとゴミ箱に捨て、気付かれないように後を追った。
そして一軒家に入るのを見てから俺は住所と表札の名前を確認してから急いで実家に戻った。