(海視点)
わかっていたはずだった。
家に帰って母にテストの結果を伝えたのに、返ってきた返事は「あぁ、そう。」だけだった。
母の反応に何かを求めていたのではないはずなのに、もう慣れているはずなのに...俺は何を期待していたのだろう。
裏切られるのはもうこりごりだから期待しないって決めたはずだったのに。
「馬鹿だなぁ、俺。」もう考えんの面倒くさいや、寝よ。
ベッドに横たわってから思い出す。今日は数学の課題があったんだ、結構量が多い課題が。
今何時だ?5時半か。課題と今日の復習明日の予習をやったらどのくらいで終わるだろうか?考えていても始まらない。とりあえず頑張るしかないかぁ...机にすわり勉強用具を広げて問題を解いて丸付けをする、正答率90%のプリントを眺める。
...勉強をすることは苦じゃなかったはずだったのにな。
昔から俺は勉強ができる方だった。みんなに頼られていたし好かれてもいたと思う。
だけどある時、一人の友だちが俺の席に来て言ったのだ「海より空のほうがいい」と。それから俺には友達がどんどんいなくなっていった。母も空ばかりみて俺を褒めてはくれない、誰も俺を見てくれない。だから思ってしまったのだ「俺はなんのために勉強するんだ?」って。そこから必死に勉強ばかりしていることはなくなった。最近は楓に認めてもらいたくてそれなりに勉強したりしているが今の俺には勉強は嫌な思い出を呼び起こさせるでしかないのだ。
さっさと終わらせるために集中しよう。

「あぁ〜〜、終わった...」時計を見ると9時半。思ったより時間をかけてしまった。腹も減ったし飯食べに行こうかな。
最近は母は俺の料理を作ってくれはするが空と母が飯を食べているときに呼んでもらえることはなくなった。
母や空がいようがいまいが俺には誰も話しかけないのだから関係ないことか。作ってくれるだけ感謝しよう。
降りよ、一階に行き冷蔵庫を開ける。今日はカレーだ、確か空の好物なのでテストの祝に母が作ったのだろう。レンジでどのくらい温めれば丁度いいくらいになるだろうか、オススメボタンでいいか。
ジジジジジジジジジジジジ...
レンジ調理が終わるのを待つ、俺はカレー苦手だ。俺だって今日いい点数を取ったのになぜ空の意見ばかり尊重されるのだろうか。理不尽と言いたいが実際俺が空に勝っているところがないのが悪いのかな。
...早く食べよう、そんで早く片付けて早く寝よう。こんな思考無意味だ、気分が悪くなって凹んで楽しくなくなって辛いことしか考えられなくなるなんて前の俺と変わらないじゃないか。
このカレー珍しく辛いな、空は甘党だったはずなのにいつの間にこんなに辛いもの食べられるようになったのかな。俺はカレーは辛いほうがまだ食べられるのでありがたい。
無心でカレーを平らげ片付け始める、こういう系統の食べ物は汚れが落ちにくいのですぐに水につけて洗う。洗剤変えたのかな?今日は汚れの落ちがよくて助かる。
よし、片付け終わった。皿も拭いて棚に戻したし、机も綺麗にしたからもう大丈夫だ、風呂は明日の朝入ろうかな。部屋に戻った、現在の時刻は10時なのでいつもより早いが今日は疲れたからもう寝よう。
俺はベッドにダイブして考え始める。今日は楓に褒めてもらったが、テストで良い点をとったのにお母さんの反応が悪かったり俺のの嫌いなものが夕飯で出た。
...悪いことのほうが多かったかな!