早い時間なので周りに学生はほぼいない。いるのはきっと出勤時間が他の人より早い社会人くらいだろう。
学校は駅から歩いて三分ほどでつくので楽だ、高校は空にしか選択権がなく同じところに行けと言われて好きな高校にいけなかったのは悲しかったけれどこういう便利なところがあるし楓とも出会えたからこの高校に来て正解だったかもしれない。
すぐそこに学校が見えてきた。校門をに入り靴を履き替えて自分の教室を目指す。今の教室は二階なので比較的登るのが楽だ。
教室の扉を開ける、一番乗りだと思っていたのに教室に誰かいた。
楓だった。
「海!?!それどうしたんだ?!?!」
え、それってなんのことだ?
「目痛いか?大丈夫??!」
あ、そういえば泣いていたから目が腫れていたんだった。忘れていた。
「大丈夫、泣いていたのは感動してだから。心配させてごめん」
泣いた後に嫌なことはあったけれど嘘はついていない。
「なんか、隠してる?」
...感づかれてしまった、多分俺の態度に出ていたわけではないと思う。時々楓は勘がとても鋭いのだ、野生の勘ってやつなのか根拠があるのかはわからないがだいたい図星をついてくるので誤魔化しようがない。かといって心配かけたくないし俺の家庭環境を喋るわけにもいかない、とりあえず頑張って否定してみるか。
「なんも隠してないよ、ほら元気!」少し笑って力こぶを作るようなポーズをしながら言う。「いや、やっぱなんか隠してるね。なにがあったの?」
...勘が鋭い人間はこういうとき本当に面倒くさい。でももしかしたら困っている人、苦しい人を救うのはこういう奴なのかもしれないな。俺も全部は無理だけれど今日のことだけでも話して見ようかな?
「泣いてた事とは関係ないんだけど、今日朝ちょっと嫌なことあってさ。聞いてくれる?」
「もちろん!」
それから今朝あった、空に話しかけられたこと、母に叩かれたことなどを簡単に話した。楓は終始静かに聞いてくれた。
「ごめんね、こんな反応に困るような話ししちゃって。聞いてほしかっただけだし反応とかは大丈夫だから!本当にごめんね、」なんだか無言の空間が気まずくてついつい一人で喋りすぎてしまう。そしたら楓が少し苦しそうな表情でこっちを見ていた。
「謝らないで。海は悪くないから。今までも、本当は悲しかったこととか苦しかったこと、あった...?俺海が苦しんでたことに気づけてなかった?だとしたら謝るのは俺の方だ。本当にごめん...」
え、なんで話を聞いてくれた楓が謝るんだ?楓は本当に何もしていない、むしろ俺の心が軽くなるようなことばかりしてくれたのに。
「楓は俺の心の支えになってるよ?確かに苦しいことばっかでどうしようもなかったけど、楓と話すのは楽しいよ。」
「そう言っても悩んでたんでしょ...?俺は海を助けてやれなかった。本当にごめん。」...俺のために苦しんでくれてる?俺は楓にこんなに想ってもらってたのか?こんなに大切にしてもらえるようなことできていただろうか?「嬉しい」、「なんで」、「嘘じゃない?」、「裏切らない?」色々な感情が出てくる。こんな時までネガティブなことを多く考えてしまう自分が本当に嫌になる。
でも、もしかしたら。
「もしかしたら本当の意味で仲良くなれるかもしれない。」
そんなことを、想った。
でも、今誰かと分かり合いたい近づきたいとは思わないのになんでそんなことを思ったのだろうか。
...考えるまでもなかった。本当は俺は一人でいるのが苦しかったんだ。
傷つくのが怖くて一人を選んだのにコドクが怖かったんだ。
自分がこんなに弱かったなんて知らなったな。