親友がくれた言葉


「――メイ?」


エマの声に顔をあげる。

あの人達は違うブースに行ったみたい。少しほっとした。


「……大丈夫?」

「あぁ、うん大丈夫」

「……そっ か。――あ、ねえねえ!」


これ良くない!?と切り替える速さに感心するより圧倒された。

エマのいい所の一つだと思う。


そういえばエマが落ち込んでるとこ見たことな――。


あ、あったわ。



夏休み前の放課後。我ながら珍しく忘れ物を取りにきた日。澄んだ水色を覆い尽くす程の白とグレーの曇り空が印象的だった。

光が照らす教室にポツンと座っているエマ。この頃の私とエマは今ほど関わりをもつ仲ではなかったな。


ただ、外は明るいのに日陰にいるエマは表情とともに暗かった。


いつも明るくてその場にいるだけでも太陽のような彼女に違和感を持ちつつ、自分の席へ向かった。

目は合ったけど、親しくもないし変に話しかけても困るかと思った。まずなんてかけたらいいか分からない。

だからなにも言わず出ようとした。



それを遮ったのはエマで。



「明日から夏休みだね」って。



独り言には大きすぎる声に思わず反応した。そうだね、と。



そこからだと思う。エマとここまで仲良くなったのは。あの時なんであんな疲れたような悲しいような寂しいような顔を浮かべてたのか未だに分からない。


だからといって追求するのもしない。したこともない。こうやってふと思い出すだけ。


いつか言える時が来たらちゃんと聞くって決めてるから。