「メイ!こっち来て~!」
よく通る声に我に返った。
ちょいちょいと手招きする彼女の元へ小走りで近づく。そして指を指したものへ視線を向かわす。
そこには可愛い配色のアイシャドウパレットが並んでいた。
思わず可愛いと声を漏らす。
蚊の鳴くような声だったのに、エマはしっかりと聞いてて「でしょー!」と私の反応を狙ってたかのようにドヤってた。
「え、わざわざこれのために?」
その発した言葉に大反省した。エマの親切心を傷つけたと思ったから。
ほんの少しの空白が怖かった。煌めくパレットから視線が外せない。エマの反応を待つだけのこの僅かな時間がくるしい。
「ごめん!」
エマの声に誰もが驚いただろう。私もそのひとりだし、周りにいた人も同じようにギョッとしていた。
てか、なぜに謝る?
ハテナを浮かべた私に彼女は言った。
「ココ、先週初日に来てて!あ、家族でね!そしたらこのお店見てさ、 “メイ好きそうだな~” って。だからさっき誘った時 “行ったことないから” って言ったのは本当は嘘で!!」
あたふたと早口で言う彼女は一体どこまで私の心を奪うんだろう。
あの時からもう人を信じるのは辞めようって決めたのに。
どんな人でも裏の顔、本心があることを知っているから。
だから、私と関わってくれる人でも疑うことを忘れないようにしているのに。なのに、エマという人は、それを無に変えようとしてくる。
エマを、信じてしまいそうになる。



